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共同通信 コラム「コレくる?」
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----- 2005年9月 -----

----- おじさんの「エンカペラ G 」 -----
+++ アカペラで演歌 世界目指す +++

 黒シャツ、黒ズボンにグレーのネクタイ姿。そろいの衣装に身を包んだ数人のおじ さんが一列に並び、きまじめな表情で歌い出す。重厚なアカペラだが、どこかで聴い たことがあるメロディー。おもむろに、派手なオレンジ色のジャケットを羽織った真 ん中のおじさんが八代亜紀の「舟唄」をうなりだしたー。
 その名は「エンカペラ G 」。八月下旬、アルバム「艶cappella」でデビューした アカペラグループで、名前の由来は「演歌+アカペラ+爺(じい)」。「演歌をアカペラ で歌うおじさんたち」という、グループの性格そのままのネーミングだ。
 平均年齢は四十代後半で、本職はサラリーマンや学者などさまざま。グループ誕生 のきっかけは「メンバーの一人が飲み会の時、アカペラで演歌を歌ってウケたから」 という単純なものだが、全員がクラシックの合唱経験を持つ実力派ぞろいである。
 実力派だけに、やけにはっきりした発音で「パパパパー」「チャカチャカチャカ」 「ドドドドゥーン」などと楽器の音を再現。美しくも奇妙なハーモニーを聴いている と、全身の毛穴が開いていくようだ。脱力しながらも「『パパパパー』は、ムード歌 謡だけのものではなかったんだ」と気付かされる。
 最近ではひそかに都内の居酒屋に出没し、声で伴奏する"人間カラオケ"をやってい るらしい。「どんなに歌がへたでも、カラオケ側が臨機応変にリズムや音を合わせて くれるので、ありがたい」(人間カラオケで歌った人)と、評判は上々だ。
 「エンカペラ G 」の最終目標は、各国の街角でアカペラ演歌を披露すること。演 歌の心を伝えるために、路上でのパフォーマンスが必須と考えている。グループの代 表で、町工場を経営する浪上光夫(なみのうえ・みつお)さんは「私たちの使命は、演 歌を世界に広めること」と、渋いバリトンで言い切った。




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