「ワインデイズ」レーベル

----- スイングジャーナル2005年2月号より -----

これほど独創的なビートルズ・カバー集があっただろうか
  ただのビートルズ・カバーではない。冒頭曲にあのメロディはもちろん登場する。だが「ノル
ウェー」という言葉からの自由な連想だろうか、四人の紡ぎだす歌はいつのまにか、妖精の杖から発し
た銀色の煙が北方の深い森の霧に溶けこんでしまうように、カルミナ・ブラーナやグレゴリオ聖歌を連
想させる欧州中世の霧のラビリントスをさまよい始めるのだ。歌われている言葉さえ、何語かわからな
い。妖精のような四人の歌声が、まるでマクベスの魔女たちの囁きのごとき魔術的な雰囲気をたたえだ
す。その変幻自在の音のメタモルフォーズのなかで、もはやビートルズは影もかたちもない・・・と思
いきや、ふたたびあの印象的なメロディに回帰して終わる。まるで一幕の夢幻劇、いや、奇妙な夢から
目が覚めたような感じで、これが本当にXUXUのアルバムなのか? という思いなのである。驚きはまだ
まだ続く。(2)もあの重いビートをもつオリジナル曲とはぜんぜん違うし、超有名曲の(3)だって例外で
はない。(4)でようやく分かりやすい旋律が姿を現すが、言葉は無国籍ゴスペルとでもいうべき不思議
な世界を浮遊している。(5)のメロディは日本の南端の海あたりに旅立った模様だが、(9)ではふたたび
冒頭の中世に戻ってくる。だが、その後にとんでもない(10)が待っている。私はいまだに夢から覚めた
ような気分なのだ。かつてこれほど独創的なビートルズ・カバー集があっただろうか!?
                                         (中条省平)


現代コーラス・ブームの先駆けとも言える異色グループ
  日本ジャズ界に衝撃のデビューを果たしたア・カペラ・グループ、XUXUの最新作。ところで現在あ
る種のコーラス・ブームがあると思う。ゴスペラーズがデビューし、TVバラエティ番組「ハモネプ」
から様々なグループが出現した。また全国を席捲しているゴスペル・ブームもある。ア・カペラとは、
チャペルのようにという意味だが、今や日本でも人間がハモることの面白さが広く理解されてきたの
だ。実際本当のハーモニーは人間でこそ可能で、これに比べれば楽器など大したことはない、と思わさ
れたのは、チェコの少女合唱団のコンサートだった。そしてこの合唱団が、オスカー・ピーターソンの
「自由への賛歌」まで歌ってしまうのを聴いて、コーラスはジャンルを問わない、という事を実感し
た。
 従って何でも出てきて不思議はないXUXUだが、(1)は想像通り(?)、まさにア・カペラで、聖歌隊の
ようなハーモニー。曲にも、このグループの不思議さにもよく合っている。(2)以下はテンポが似通 っ
ていて、ややカラーが似てしまうが、(7)は速いテンポの中にビートがよく出ていておもしろい。もと
もとハモりには強いのだから、リズムが出ると鬼に金棒となる。この曲のエンディングの裏声(?)も面
白い。さらにユーモラスなのが(10)。ジャズに限らず、ビートルズやポピュラー・ファン、ア・カペ
ラ・ファンまでターゲットに入る幅広い作品だ。                  (中山智広)




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