1区から20区までの何処でも。 寒い日にも、まぶしい日にも当て無く歩いたたくさんの街角が、私のパリコレクションだ。 撮りまくった写真を前に、これはどこであったかと茫然としてしまうことがある。 しかし、一枚のスケッチは、それを描いていた時の風や陽ざしの強さ、覗き込んで行った人の匂いまでありありと思い返せる。 旅から帰って、ポケットの奥やカバンの隅からこぼれ落ちるメトロの切符や、カフェのレシート、または石ころのたぐい。 それらをひとつひとつスケッチブックの脇に並べて、今宵一人のコレクション展が始まる。 橋本清一