 |
昨年12月、XUXUは「たけしの誰でもピカソ」(テレビ東京)/
毎週金曜日午後10時から放送中)に出演し大きな反響を呼んだ |
XUXUは“声”によるグループ表現に新たなる可能性を見出した
「世界にふたつとないユニークなアカペラ・コーラス・グループ」というキャッチ・コピーは、少しも大袈裟ではない。人間の“声”による冒険というのは、口にするのは簡単だが、じつはこれほど難しいものもない。楽器を媒介にしたサックスやピアノには、トラディショナルから前衛にいたるまで、さまざまな幅広い表現スタイルがあるというのに、よりストレートに感情を表現することができる筈の“ボイス”に、際立った発展がなかったのはどうしてなのだろうか。
ルイ・アームストロングが1926年にスキャット唱法を発明して以来、多くのシンガーたちがさまざまに楽器的な唱法にチャレンジしてきたのだったが、“声”による冒険というのはとても難しく、ましてそれをグループで演じるというのは、まさに至難の業でもあった。
そしてこれ以上、発展の可能性がほとんどないと思われていた“声”によるグループ表現に、鮮やかな突破口を開いたのが「XUXU(しゅしゅ)」だった。2002年の秋に、いきなりクラシック、ジャズ、ポップスという3ジャンルのアルバムを同時リリースするという、衝撃的なデビューもさることながら、あらゆるタイプの作品を素材として扱いながら、どの曲も類を見ないXUXU流のユニーク解釈でものにしているのに感心させられたものだった。
XUXUの素晴らしさ、グループとしての面白さは、徹底的に“声”にこだわり、いっさいの楽器を加えることなく、4人の“声”による表現の可能性だけを追求していっているところにある。しかもメンバーそれぞれが、各々の“声”の微妙な音色や表情の変化に重点を置いて、自在にコントロールしながら豊かな響きを生み出している。
新作『ザ・ビー』では、お馴染みのビートルズ・ナンバーばかりがレパートリーに選ばれているのだが、聴きおぼえのあるメロディーはあるときには変形され、意表を衝いた音楽的アイディアとともに、自在に形が変えられてゆく。4つのボイスが重なり合ったり、離れあったりするなかで、XUXUならではの浮遊感あふれるサウンド空間が生まれ、まるで流れる雲のようにさまざまに表情を変えてゆくのが、とても心地よい。
音大出身の彼女らが身につけている確かなテクニックと、中世の聖歌から先端をゆくジャズにまでいたる幅広い音楽的背景。とんでもなく難しいことを、美しい響きと親しみやすい表情でみせてくれるXUXU。“声”によるジャズ表現の世界で、こんなに楽しい事件は、今までになかった!
(岡崎正通)
|