Jazz Vocal 2004 ジャズ・ボーカル新黄金時代(その1)
(スイングジャーナル「ジャズ読本2005」より)

2004コーラスグループ・シーン総括
04年のジャズ・ボーカルの隆盛にも、
このボーカル・グループの動きはきっちり連動している
(文・馬場啓一)

 ジャズボーカルの一翼を担うコーラス・グループは、ビッグ・バンド時代の添え物としてスタートし、それが次第に独自の人気を博して行った。
 ジャズの本場のアメリカではバーバーショップ・スタイルと呼ばれる町のコーラス同好会が各地に存在し、スイング・エラにはビッグ・バンドと結びついたのである。学生たちのグリー・クラブ、教会の聖歌隊などもここには関わっている。さらに、黒人たちのニグロ・スピリチュアルを専らとするグループや、教会でのゴスペル・グループなども加わり、その幅を広げていった。要するにアメリカには様々な人種や階層にコーラスが浸透していたのである。日本人が斉唱で国歌をうたう国民なら、アメリカ人たちは様々な機会に声をそろえて、かつ同時にパートに分かれて、国家や賛美歌を歌ってきた連中なのである。それが、今日のジャズ・ボーカル・グループを支えている。そして04年のジャズ・ボーカルの隆盛にも、このボーカル・グループの動きはきっちり連動しているのだ。

 マンハッタン・トランスファーはいまや押しも押されぬ ボーカル・グループのナンバー・ワンだが、そういうコーラスの歴史の土台の上に成立しているグループだ。スイング・エイジのバンド・ボーカル・グループの特色を基本にしながら、ジャイブ・ナンバーやバーバーショップ・スタイルの曲をうたい、ときにモダン・ジャズ・エイジの有名曲をカバーする。こういうグループはいなかった。ティム・ハウザーをリーダーとするマンハッタン・トランスファーの成功は、こういう間口の広さにある。04年もその特色を充分に生かした新作を発表。うた好きを喜ばせた。グループ結成以来30年を越えるのにそのカラーもメンバーもまるで変わらず、それでいていつまでも新しさを感じさせるというのは大変なことである。

マンハッタン・トランスファー
 そういう動きの中でストリング・オブ・パールスという女性3人のグループが登場したのが04年の収穫のひとつ。アンドリュース・シスターズの流れを汲む、ビッグ・バンド・ジャズの精神を今に受け継ぐグループで、今後の期待が大きい。
ストリング・オブ・パールス
 かつてはモダン・コーラス・グループの最高峰であったフォア・フレッシュメンも、メンバーはまるで変わっているのに同じようなソノリティでファンを喜ばせた。天然記念物というか伝統芸保存会のようなコーラス・グループである。活動が続いていることを知らせる新作のリリースはコーラス好きには随喜の涙であった。
フォア・フレッシュメン
 これらのアメリカ勢に対し、1人というか4人で気を吐いているのが我がXUXU(しゅしゅ)だ。音楽大学出身者を中心にした才媛たちの集まりが紡ぎ出すハーモニーは実にユニークである。これほど個性的なグループは、世界的規模で見ても、ない。伊藤プロデューサーの丹精の賜物である。自分たちで行うというアレンジの精緻さは、どれほど褒め称えても足りない。
 彼女たちを聴いていると、ジャズ・コーラスの未来明るい、と思ってしまう。

XUXU

ジャズ・ボーカル新黄金時代その2


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