ヴィブラフォン・デュオの『ライムライト』
　１人のプレイヤーが２つのパートを演奏したヴィブラフォン・デュオ・アルバム。『グリーンスリー
ヴス』『スカボロー・フェア』などイギリス民謡や、グリーグ『朝』、ピアソラ『タンゴの歴史』のよ
うなクラシックなどを新進打楽器奏者、絵里がジャズ・タッチで演奏している。ジャズには興味がない
からなんて敬遠しないで、ぜひ聴いてみてほしい。ライナーノートにもある通 り、ヴィブラフォン２台
によるまるでオルゴールのような響きは、どこかノスタルジックでほっとリラックスできる心地よさ。
暖かい部屋でのクリスマス・ディナーのBGMにもぴったりだ。
　同じ個性をもった一人の演奏者によるデュオだからこそ、かすかなゆれにも完璧についていけるよう
な相手の呼吸を完全につかんだ演奏を可能にした。一人二役だからもちろんオーヴァー・ダビングでは
あるが、それぞれは一発録りによるもの。だからこそそこには生まれたままの音楽の生命感が息づいて
いる。